北九州市モニタリングポスト(MAR-22)測定値上昇について日立アロカメディカル株式会社からの報告書
最近のがれき焼却や放射性物質関連担当は、イメージ悪化を恐れてか「北九州市」から「福岡県」にスライドした模様です。
福岡県が、先日発生した「八幡西区の総合庁舎設置の放射線量モニタリングポストの測定値が上昇した原因」についてのメーカーからの報告内容を公表。pref.fukuoka.lg.jp/uploaded/life/…
— 小倉タイムスさん (@timestimes1954) 11月 13, 2012
福岡県知事殿
モニタリングポスト(MAR-22)の測定値上昇について
2012年11月12日
日立アロカメディカル株式会社
品質保証部
計測システム技術部
北九州局(八幡総合庁舎:北九州市八幡西区)のモニタリングポスト(MAR-22)が平成24年10月11日から11月6日までの期間におきまして、空間放射線量が0.01マイクロシーベルト/時上昇するという機器の不具合が発生しました。事象内容を検討した結果を以下に記載いたします。
1.事象の発生について
平成24年10月11日に装置の点検を行い、この際通信ケーブルを交換いたしました。この事がきっかけとなり、装置性能の精度管理の目的で組み込んでいる機能(以下『補正機能』という。)が誤動作し、測定値が実際の値よりも高く表示されたものと推定致します。
2.本事象がなぜ発生したのか
モニタリングポストは入射した放射線のエネルギーを検出し、そのエネルギーを基に放射線量率を計算しています。
- 装置内部の通信に関わる部品(ケーブル)の不良によりノイズが発生し、ノイズによる異常なピークがスペクトルデータに発生しました。(図1)
- この異常ピークを基準ピーク(40Kのピーク)と誤認識することにより、実際には発生していないずれ(基準ピークの位置が本来あるべきところにない)と認識し、補正機能が働きました。(図2)
- 図1の場合、異常ピークの位置を本来の基準ピークの位置に補正する様に動作し、検出器にかける電圧を高くします。(図2)
- 電圧を高くすることにより、スペクトルがエネルギーの高い方へ移動し、その結果エネルギーを基に算出する空間放射線量率は高くなります。(図2)
- この現象(1〜4)が繰り返し働いた為、徐々に測定値が上昇したものと推定致します。
図1
図2
3.対応について
本事象は、不良ケーブルからのノイズにより発生したものと推定されるため、新たにケーブル交換を実施しました。
再発防止に向けデータの解析の上、対策の検討を実施しています。以上
添付資料1
•異常ピーク発生時のスペクトルデータ
補正機能について
補正機能とは天然に存在するカリウム(40K)のピークを監視することで装置性能の精度管理を行う機能です。(機能フロー図 添付資料3参照)
補正機能は誤動作の防止として、下記の判定を行っています。
- (40K)のピークずれ許容範囲外であるか
- 高圧(HV)許容範囲内の確認
しかし、今回の事象ではこの判定内に収まった為、補正機能が動作したと推定致します。
添付資料2
(40K)を用いたゲインの補正機能について
•機能フロー図
動作の概略動作は下記フロー図の通りです。
カリ補正とは天然に存在するカリウム(40K)のピークを監視することで装置性能の精度管理を行うための機能です。
※HV:放射線検出器に印加する高電圧のこと。
添付資料3
装置内部のケーブル交換作業
図-1:装置写真
図-2:装置内部拡大写真